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第2回 「江戸の女は強かった -三くだり半(三行半)は男の特権じゃない?- 」

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三くだり半(みくだりはん)という言葉。私や私より上の世代には通じるでしょうが、若い人は理解できるでしょうか?

普通に読めば、「三行半」は、「さんぎょうはん」ですよね。そうです。もともと、この言葉の由来は、「さんぎょうはん」から来ているのです。つまり、別れ話を持ち出すときに、夫が妻に「離縁状」を渡すのですが、これが概ね3行半にしたためられていた、というわけです。3行でも4行でもなく、3行半というのが意味深ですね。今に伝わる江戸時代の離縁状を見ると(高木侃著「三くだり半と縁切り寺」講談社現代新書に所収の写真。以下、本原稿の江戸の風俗や歴史に関する著述の多くは同書からの出典による)、確かに、3行でも4行でもなくうまいこと3行半に書かれているものが大半です。昔の人は筆をさらさらと使って、離縁という重大事を3行半にまとめて書き上げたのですから、パソコンで文章を作るのに慣れてしまった現代人に比べると、偉いものだと感じます。

さて、三くだり半というのは、一般に、一方的に離婚することを可能とする「離婚通告書」のように受け止められています。つまり、江戸時代は男の天下であり、男尊女卑の封建的な制度がまかり通っていて、三くだり半もこうした女性蔑視の制度であり、夫は妻を気に入らなくなれば理由なしに離婚することができる、と考えている方が多いでしょう。もしそうであれば、何とも男にとって都合の良い時代と言えます。テレビで見る時代劇では、お殿様には必ず側室なる男心をくすぐる存在が公認されているようですし、その上に三くだり半などという都合の良い制度があるとしたら、こと異性関係では江戸は男にとってハーレムと言ってもいいような憧れの時代であるかもしれません。

ところが、上記図書によりますと、実態はそのように男に生易しいものではなかったようです。

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