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家庭の問題について

1.夫婦の問題

(1)熟年離婚

【 事例 】

私は今まで夫につくして来ましたが、夫は仕事にかまけて家のことにまるで無関心で、帰って来て寝るだけの生活であり、夫と一緒にいても楽しいことなどありませんでした。そろそろ子育ても終わり、夫ももうすぐ定年を迎えます。そこで、これを機に、私はこんな身勝手な夫と別れようと決めました。果たして、私のこのような希望はどのようにしたらかなえられるのでしょうか。そのためにはどんな準備をしたら良いのでしょうか。

こんなケースでまず問題となるのは、離婚する場合の具体的な持って行き方でしょう。わが国の法律では離婚は役所への届出によってなされるわけですから、離婚届出書に双方が署名押印しなければならず、そのためには、離婚に向けて夫婦で話し合いをして、離婚やむなしという合意を作らなければなりません。夫がそう簡単に同意するとも思えませんが、説得するしかありません。

もし、ご自分達だけではうまく話し合いができないなら、家庭裁判所で調停をするのが一般的です。その場合には、いちおう離婚の理由が問題となります。民法が離婚原因として認めているのは、不貞行為とか悪意の遺棄とか限られた事項に該当する場合と「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」だけです。よく、別居を何年かすると離婚できるのではないですか、という質問を受けますが、今のところ、そのような規定はありません。典型的な離婚原因がない多くのケースでは、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するか否かを、別居期間や夫婦としての愛情の度合い、妻や子供に対する影響等の要素を総合的に考慮して判断します。

ご質問のようなケースでは、はっきりした離婚原因があるわけではなく、いわゆる性格の不一致による離婚でしょう。厳密に考えれば、このご夫婦の場合には、別居が続いているわけでもなく、離婚原因ありとするのはそう簡単ではないでしょうが、調停というのはあくまでも、双方当事者が納得ずくで合意を形成する手続ですので、仮に離婚原因がなくても、相手方が納得しさえすれば、離婚の合意に至ることは可能です。

実際問題として、離婚が珍しい現象ではなくなって来ている昨今では、当事者同志で話しをしているときには、感情的になって反発するだけであったものが、冷静な第三者(弁護士、調停委員)が間に入って調停手続を行っているうちに、相手の考え方がある程度わかるようになり、自分の気持ちが整理されてきて、離婚も合理的な選択肢のひとつであるという判断に至る場合も多いのです。

当事者だけでの話し合いは勿論、調停手続も必ずしも弁護士を入れる必要はなく、普通の方が自分で手続をすることができます。時々聞かれるのは、相手方に弁護士がついているような場合、自分も弁護士をいれないと不利になるのではないか、という相談ですが、家裁の調停は当事者双方に公平に行われますので、弁護士がいなくても特に不利にはならないと思いますが、弁護士が入った場合のメリットとしては、必要にして十分な言い分を裁判所に提示できること、手続や法律がわかる弁護士が側にいて適時にアドバイスしてもらえるという安心感、弁護士は交渉のプロであり多くの経験を持っていますので、調停成立に向けたいろいろな交渉や代替案の提案の提示ができるし、裁判所なり相手方が提示してきた条件を飲むことが得か損か、どこを譲ってどこを頑張るべきか、といった判断ができること、そういった点にあるのではないかと思います。

次に、来るべき「離婚」へ向けた「準備」ですが、弁護士の知り合いを「準備」するなどというのもありますが、ご質問の夫婦の場合、子供は皆成人しているでしょうから、親権の問題はないので、一番重要なのは、経済的な問題に対する備えをしておくことでしょう。一般的に、職業を持たない妻の場合、当面夫と別居したり夫からの生活費の支給が滞るといった可能性も考慮して、ある程度まとまった金銭を用意する必要があるでしょうし、弁護士を頼むのでしたら、その費用もいります。いわゆる軍資金がいるわけです。それから、話し合いなり調停で手続をする場合には、夫がどのような資産(不動産、預貯金、株等。夫がサラリーマンであれば退職金の金額の目安も)を持っているかという点と夫の収入を把握しておくべきです。それは、金額もさることながら、それを証明できるような書類のコピーも取っておいたほうが良いでしょう。また、最近では年金の受給権の半分を離婚した妻が取得できるように法改正するといったことも話題になっておりますが、年金の額等も調べておくと良いでしょう。 このような「準備」をした上で、経済的な条件の話し合いに望めば、有利に事が運ぶでしょう。

経済的な問題は、「財産分与」「慰謝料」です。 「財産分与」は、夫婦が婚姻中に取得した財産を分けるよう請求できる権利です。これは、形成した財産の種類によって分け方が異なってきますが、一般的には、妻は婚姻中の財産の2分の1について権利を有していると考えてよいわけです。「慰謝料」は、相手方に離婚するについて責任がある場合に請求できるものであり、家裁の事例は200万円〜300万円程度の金額を支払う場合が多いようです。

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