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家庭の問題について

1.夫婦の問題

(2)離婚後の養育費とローン

【 事例 】

私と夫は結婚して10年になりますが、考え方や生活のリズムが合わず、話し合った末、離婚しようということになりました。私共には小学生の息子と娘がおります。自宅は購入して5年になりますが、まだローンが残っています。夫はサラリーマンで私はパートで働いています。離婚するにあたって、子供の養育費等どんなことを決めておけば良いのでしょうか。また、それを守らせるためにはどんな方法があるのでしょうか。

夫婦に未成年の子(厳密には未成熟子)がいる場合には、離婚の際に親権者を決めなければなりません。仮に、妻が親権者となって子供と一緒に暮らす場合には、夫が父親の義務として、養育費を支払わねばなりません。養育費は一般的に、子供が20歳になるまで支払うことを定める場合が多いようです。養育費の金額の定め方は、家裁の審判で決める場合には「生活保護基準を用いての按分方式」が一般的だとされています。これは、夫と妻の収入から生活費を控除して父母それぞれの「余力」を算出し、その余力を按分して養育費を算定する方式です。したがって、父母の収入の多寡によって金額に差が出てくるわけですが、経験的には、子供1人について月額5万円程度の例が多いようです。但し、子供の年齢が増えるに応じて金額を増額したり、高校や大学入学時といった教育費がかかる時に、臨時的に金額を増額したりする形で弾力を持たせる事例もあります。

それから、離婚に際して決めるべき事柄として、財産分与の問題があります。預貯金や株券といった金融財産は分けるのが簡単なのですが、結婚してからローンを組んで購入した自宅のように担保の負担がついた不動産については、なかなかやっかいな問題が生じます。

まず、自宅を処分するのかしないのかを決めなければなりません。処分する場合でも、夫婦どちらも転居先を決めなければなりませんし、処分した価格でローン全額を支払えない場合、残ったローンの支払い義務は免れません。処分する価格については、ローン債権者の同意を得て抵当権を抹消する必要があります。

もし処分せずに夫がその家に続けて住むのだとしたら、夫が残るローンを支払うことにあまり問題はないでしょう。その逆のケース、つまり妻がその家に住み続ける場合もあるでしょうが、その場合は、夫が負担するローン分(のうちの何%か)が分与すべき財産から差引かれることになるでしょう。どちらもその家に住まず処分する場合にも、夫が負担するローン分(のうちの何%か)を分与すべき財産から差引くのが公平でしょう。但し、財産分与には夫婦の共有財産の清算という側面の外に、離婚後の妻の扶養という側面もありますので、あまり多額なローン金額を差引くと、妻に渡るものが少なくなってしまいますので、配慮が必要でしょう。

このあたりの線引きを具体的にどのようにするのかについては、事例毎に、夫婦の財産状態や収入の状況、離婚に至る経緯や離婚後の生活予想等の点にバラエティがありますので、一般的な数字として示すのは難しくなります。個別に弁護士に相談するのが良いでしょう。

養育費に関しては、当事者間で話し合って決めた場合にも、夫側が数回支払っただけでその後支払わなくなる、といった事例が多く見られるようです。これは、夫側に父親としての自覚が欠如しているわけで、実にけしからん話なのですが、嘆いているだけでは仕方がないので、できるだけこれを守らせる方法を考えるしかありません。

調停で養育費や財産分与の支払い方法を決めた場合には、調停調書という書類を作成します。この調停調書は判決と同じ効力を持っており、もし調停で決めた条項に違反したら、強制執行ということができるのです。つまり、守らなかった相手に対して、財産の差押えが可能となります。この差押えは、特にサラリーマンの夫に対しては有効な手段だろうと思います。というのは、サラリーマンは会社から毎月給与をもらいますので、この給与を押さえればいいのです。もっとも、法律で制限があり、給与の全額を差押えすることはできませんが、会社に対するみえというか評判を気にする人が多いので、一度給与を差押えられると、その後は任意に支払うようになるケースもあります。

調停でない場所で任意に養育費や財産分与に関する取り決めをした場合には、これを守らせるには、公正証書を作るのがベストです。公正証書は公証人が作成する公の文書であり、金銭支払いに関する条項が定められていれば、調停調書と同様に、これ基づいて差押えをすることが可能です。

親権者でなくなった父親のほうからは、子供に会わせてくれという要求が出ることがあります。これは、面接交渉権というもので、夫も離婚したからといって、子供にとって父親であるという事実は変わらないわけですから、子供に会う権利があるわけです。このような要求があった場合、夫が父親としてふさわしくない行動をとるような場合以外は、原則として認める必要があります。具体的には、月に何回とかの回数と、どういう形で会うかといった内容を話し合って決めることになります。

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