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家庭の問題について

3.相続の問題

(2)具体的相続分(特別受益・寄与分)

【 事例 】

私は、夫が亡くなる前3年間ほど、寝たきりの状態になった夫の日常生活の世話や病院への送り迎え、看護費用の負担等を行ってきました。それに引き換え、私の子や先妻さんの子は何の手助けもしてくれませんでした。このような私のした苦労は相続の時に報われるのでしょうか。また、先妻の子は、生前に夫から立派な自宅を建ててもらっています。このような利益受けている先妻の子と私の子の相続分が同じというのは納得できませんが、このような言い分は通るのでしょうか。

前問のような段取りを経た後、次に、作成した遺産目録に基づいて5.各相続人の具体的な相続分を決めるのですが、その際に、相続人の中で、被相続人から生前に現金や不動産の贈与を受けたことがある人がいる場合には、その受けた贈与の分を遺産分割にあたって考慮しなければ、他の相続人が不公平になります。 これが、特別受益の持ち戻し、という制度です。すなわち、簡単に言えば、受けた贈与の価額を遺産の総額に加算して、この価額を基準にして相続分に応じた各相続人の相続分を算定し、そこで出た価額から特別受益となる価額を差し引いたものが、その相続人の具体的な相続分となります。

理屈はそのとおりなのですが、実際の分割協議の場では、欲と嫉妬がからむと、他の相続人についてのいろいろな情報が噴出して来て、泥試合のような様相を呈することもあり、どれを特別受益の対象とすべきか、その評価をいくらと見るべきか、これらをどう証明するか、といった複雑な問題が生じてきます。最終的に調整ができなければ、裁判所なりに委ねざるを得ないのですが、時間や経費を節約するために、各人が何らかの譲歩をするのが大人の対応でしょう。

また、最近は介護制度が充実してきましたが、身内が長年にわたって被相続人の療養看護に努める場合も多いでしょう。あるいは、配偶者や子が家業を長年にわたって手伝い、その維持隆盛に努めてきた場合もあるでしょう。このような場合には、家業を手伝ったり、療養看護を行ってきた相続人から、それに見合う分を評価して他の相続人より多く遺産を分割してほしいという要求が出るのは、ある意味では当然かもしれません。これが、寄与分という制度です。民法は、このような場合に、特別に寄与した相続人について、その寄与に応じた価額を遺産全体からいったん控除して、残額を基準として各相続人の相続分を計算していく、という方法を認めています (904条の2)。問題は、寄与分の立証と計算の仕方であり、これも具体的な事案に応じて先例などを参考にしながら決めていくしかありません。話し合いがうまくいかないなら、弁護士等の専門家に相談するほうが良いでしょう。

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