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会社法;過労死と取締役の責任

商事判例研究1;ジュリスト・1427号・157頁

会社法(取締役の責任)

<事例> 京都地裁判例 H22年5月25日
論点 従業員の過労死につき、取締役の責任を認めた(東証一部上場企業{居酒屋を経営する椛蜿ッ}では初めての判例)。

1 当事者
X Aの法定相続人 Y1 取締役 Y2 会社
2 請求内容
@ XがYらに対し、会社法429条1項、不法行為に基づき損害賠償請求
(注)会社法429条1項
「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」
A Yの言い分「       」
3 判決内容
・@に対し、取締役は会社に対する善管注意義務として、会社の使用者としての立場から労働者の安全に配慮すべき義務を負うから、それを懈怠して労働者に損害を与えた場合には、会社法429条1項の責任を負う、Y社は、勤務時間を管理する部署は管理本部の人事管理部、店舗本部、その下部組織であり、(代表取締役社長たる)Y1らが個別に店舗労働者の勤務時間を把握することは不可能であるが、Y1は経営者として労働者の生命、健康を損なうことが内容な体制を構築する義務を負っていた、Y社は三六協定に1ケ月100時間の時間外労働を6ケ月にわたって許容する内容が含まれていたこと、基本給の中に時間外労働80時間分が組み込まれていたこと、以上を理由に、労働者の生命、健康に配慮し、労働時間が長くならないよう適切な措置をとる体制を取っていなかった、よってY1らには悪意又は重大な過失により任務懈怠があったから会社法429条1項に基づき責任を負う。
・一方で、YらにはAの労働時間を把握・管理する立場になく、労働時間について具体的な措置をとる義務はないから、という理由で不法行為責任は否定
4 結論
 一部上場企業で労働者の労働時間を具体的に把握、管理していない社長その他の役員であっても、労働者の生命、健康を損なうことがないような体制を構築する義務があり、それを怠ったと認定された場合には、会社法429条1項に基づいて労働者が被った損害につき、責任を負う場合がある。

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