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会社法;派遣労働と報奨金の打ち切り

報奨金打ち切り

<事例1> 東京地裁判例 H21年3月10日 ジエイエスキューブ事件
論点 派遣先が派遣労働者に支給する報奨金の打ち切りの可否

1 当事者
X 派遣労働者 Y1 派遣元会社 Y2 派遣先会社
2 請求内容
@ Y2に対し、雇用契約上の地位確認請求
A Y1,2に対し、インセンティブ報酬(携帯電話の未納料金の回収金額に応じて支払われる)の請求権を有する雇用契約上の地位確認請求
B Y1,2に対し、当該報酬を含む賃金支払い請求
3 判決内容
@に対し  
 派遣法40条の5につき、Y2において労働者を雇い入れようとする雇用契約の申込み義務を発生させる同条の要件にあたる具体的事実の主張、立証がない→請求却下。 (注)つまり、XはY2との間で雇用契約が成立したと主張したのですが、これを認めなかったわけです。
Aに対し
 Y2がY1を通じてXに対しインセンティブ報酬を支払っていたにすぎず(支払事務の委託)、この関係を超えて報酬の支払い請求権をXに与えたという事実関係はない→請求棄却
Bに対し
 報酬が雇用契約上の賃金と認められない。 Y1がこれを支払うことは雇用契約の内容になっていないから、Xがインセンティブ制度の廃止によって被った不利益について、雇用契約の内容に変更に関する同意の有無や就業規則の不利益変更の法理を論じる余地はない→請求棄却。
(注)つまり、XとY1との関係では、Y1はXに対して賃金を支払う義務はありますが、Xが主張するようなインセンティブ報酬を支払う義務はないとしたのです。 ・また、Y2はXとの間に雇用契約はなく40条の5で雇用契約関係が生じるものでもないから、報酬の支払いは恩恵的な給付にすぎない。
(注)同様に、XとY2との関係では、上記@のように雇用関係は発生しないから、Y2はXに対して賃金支払い義務はなく、インセンティブ報酬についても恩恵的なものであり、支払い義務がないとしたわけです。

<事例2> 
論点 人材派遣会社Yから派遣された派遣社員Aが派遣先の会社XでXのお金を横領した場合、YはXに対してどのような責任を負うのか。

 これは、民法715条の使用者責任の問題です。
 つまり、被用者(労働者)Aが横領事件(民法上の不法行為<709条>)を起こした場合には、Aは被害者である派遣先会社Xに対し、不法行為責任を負い、損害賠償義務があります。

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